2018年10月17日水曜日

君が見た未来 プロローグ

東の空からの陽光が電車の中に差し込み、俺の頬を照らす。
「んぁ…」
そろそろ駅に着くか…などと思いながら高校二年生の俺、真玉 翔は眠い目をこする。
いつも通り朝五時に目を覚まし、いつも通り始発の電車に乗り、いつも通りの席に腰掛け、いつも通りねる。そんな日常。
現在の時刻は六時三十分。今日も列車は平常通りに駅につきそうだ。
学校はかなり駅の近くにあり、いつも余裕で間に合うが、なぜかいつも早めに目が覚めてしまい、家にいてもやることがないという理由で学校へと向かう。
そのおかげか、最近はかなり成績が安定している。
「(いやはやありがたいことだ。もう不眠症様様だな。)」
などと思いながら、次の駅で降りることを思い出し、座席から立ち上がり、リュックを背負う。高校に入学する春に、母が買ってくれたリュック。最初はこんなに荷物はいらないだろ、と思いながらかるっていたが、中学の頃より結構な量持ち運びするようだ。今ではこれがないと学校にいけないというくらいの必需品だ。
『間も無く、○○駅です。お降りの方は、右側のドアから…』
頭上からアナウンスが聞こえてくる。
軽く周りを見る。
見なれた人たち、見知らぬ人達。眠そうな顔をしているあの人、課題をいつも一生懸命やってるあの人。誰も話したことはない、知り合いにも満たない人たちだが、少しの親近感は湧いてくる。
そして何故かいつも俺の前の席に座り、周囲を観察しているように辺りを見回すあの人。制服から察するに多分中学生…?だと思う。大して女子の制服に興味はない。
…まあ、時々目が合うのが気まずくなるが。
なんてことを考えていると、俺の降りる駅に着いた。時刻は六時三十五分。5分間もよくわからない時間に使っていたのか…と少し驚く。
電車を降りて、改札に向かう。
片田舎にある、あまり大きくはない駅。特急も止まらないし、そもそもこの路線に新幹線なんてものは走ってない。
改札を出て、宙を見上げる。
今日もよく晴れてる。さあ、一日頑張るか。

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