2016年12月14日水曜日

~平凡で平和な世界~

~平凡で平和な世界~ⅩⅩⅧ

そうしてその後、彼女たち、御門葵、西原沙矢香、牧直人が帰ってくることはなかった。
HCOMFは中止となり、生徒たちはすぐに家へと送り返された。現場に居合わせた音尾さんと津島君と僕は警察に事情の説明をして、実況見分を受けた。とはいえ、犯人の残した痕跡は弾丸三つ。警察の人によると、犯人の特定は難しいかもしれないということだった。
数日後、三人の葬式が執り行われた。周りの皆は泣いてたみたいだったけど、僕はどうしても実感がわかなかった。
…なんでだと思う?
「泣ける…」
「(幽霊って涙流せんのな)」
「いやー自分の式を見る時が来るとはねー」
「(結婚式じゃなくて葬式だけどな)」
「すごいよ平野くん!!私死んでるよ!あ、そろそろ燃えるよ!ってあっつい!!」
「(だーっ!るっせぇ!!自分の体燃えてんだからもうちょい悲しめよ!)」
三人は幽霊になって、俺にとり憑いていたのだ。
「(お前ら葬儀の時ぐらい静かにしといてくれよ…1人で話してるみたいになって俺だけ変な目で見られんだぞ!)」
しかしまあ、俺だけではなく音尾さんにも見えてるらしく、葬式中も時折「大変そうだね」というような視線を向けてくれる。ま、どうしようもないしね。
いやまあさ、もう二度と会えないってわけじゃないってだけでもうれしいよ?
でも、
「なんで俺じゃないといけなかったんだよ!?」
「うーんなんでだろうね?仇でも討ってほしいんじゃない?」
「じゃあ音尾さんじゃダメなのかよ…」
「未来ちゃんは将来もあるしね!何しろ忙しいだろうし。」
まあ、俺にはなんもないしな。どうせ暇だし。
「でも俺でいいのかよ?多分なんもできないぞ?」
「まあまあそんな事言わないでさ、ずっとこのまま居られるのも嫌でしょ?」
少し嫌じゃないと思う気持ちもあるが脱線するのはめんどくさいので「確かにな」とだけ言っておく。
とはいえ、具体的に何すればいいんだろうか。
「取り敢えず伏見先輩のとこに行ってみとうよ。あの先輩ならきっとなにかヒントくれるよ。」
そして先輩のもとへ。