2016年10月7日金曜日

~平凡で平和な世界~ⅩⅩⅦ

撃たれた瞬間、目をつぶった。しかしいつまで待っても、想像していた痛みは来ない。
というか、どこに当たったのかすらよくわからない。
「…あれ?」おそるおそる目を開けてみる。 目の前には、津島くんがいた。いつの間に。
彼は右手だけ上にあげ、何か口ずさんでいる。歌とかではなくて、文章の朗読みたいな。しかし、よく聞き取れない。ふと周りを見てみると、皆が倒れている。
西原さん、御門さん、音尾さん、牧くん…
なぜ、自分だけ助かった?
なぜ、弾は当たらなかった?
後ろから津島君の声がする。
「他の四人は、実弾で撃たれていた。お前だけは魔法弾だった。魔力を弾丸に変えて放つこの技だが、俺の魔法破壊マジッククリアで破壊することができる。なぜお前だけはその弾にしたのか、真意は分からん。」
「彼らは、たすかるの?」
「やれることはやった。あとは傷次第だ。」
「…そっか。ところで津島くん。なぜ君はここにいるんだい?」
「他のチームが暗号を解き、先生に質問に来た。これはどういう意味なんだとな。その後三十分でお前ら以外のチームはすでに避難が完了していた。お前らは…動きが速くて補足に時間がかかった。本当に申し訳ない。」
「いいよ…起きてしまったことだし。」
「…。」
津島君は、少し申し訳なさそうな顔をした。
「…うん…」
え?
後ろから声が聞こえた。音尾さんだ。「音尾さん!!大丈夫!?」
「んえ、ああ…うん。ちょいと頭がガンガンするけど。」
「…とにかく、いったん聖域サンクチュアリまで戻るぞ。」
そういうと彼は四角形を二つ重ねたような模様の入ったマットを引くと、よくわからない言葉を唱えた。
次の瞬間、空間が歪んで、いつの間にか宿舎にいた。